彼女とは2回目のデートだった。
湘南海岸のそばのレストランで食事をしたあと、彼女を送るべく横浜新道の上りを走っているときだった。
まだ催眠は掛けたことがなかった。
- 「前を走っている車のテールライトを見てごらん。」
- 「そう、左側の赤いライトだよ。」
- 『なぁに?』
- 「よーく見てごらん。」
- 「よーく見ていると、ある変化に気づくよ。」
- 『え?』
- 「喋らずにじーっと見ていると・・・」
- 「じーっと見ていると、赤い光がだんだん大きくなってくるような気がしないか?」
前の車がブレーキを踏んで、テールライトが明るくなった。
その瞬間、
- 「ホラ!、目が閉じる。」
- 「もう開いていられない。」
- 「もう開けられない。」
- 「開けようとすればするほどまぶたがぴったりと閉じる。」
開けようとまぶたを動かすが、開けられずに戸惑っているようだ。
続いて深化させた。
- 「さぁ、3つ数えると、・・・」
- :
深化に続いて、
- 「今度目がさめると、君の腰は敏感になっているよ。」
- 「車の振動がとっても良くわかる。」
- 「さぁ目をあけられるよ。1,2,3!」
- 『・・・』
彼女はぼんやりと目を開けた。
続いて追い討ちをかける。
- 「ほら、なんだか車の振動が良くわかるだろう?」
- 「エンジンや路面の振動がシートを伝わって君の腰に伝わっていく。」
- 『・・・』
- 「その振動に注意を向けていると、だんだんお腹の下のほうが熱くなってくる。」
- 「お腹が熱くなってくると、だんだんドキドキしてくる。」
- 「そう、ドキドキしてエッチな気分になってくる。」
- 『・・・』
- 「車の振動がバイブレータの様に伝わってくる。」
- 「じーんと感じて、濡れてくるのが自分で分かる。」
- 『あ゛っ』
- 「欲しくなってくる。」
- 「ほーら、だんだん欲しくなってくる。」
彼女はうつむき加減になり、呼吸が荒くなって行くのがわかった。
前方にラブホテルの明るいネオンが見えた。
- 「何か飲みたくない?」
- 『ええ、飲みたいわ。』
- 「少し疲れたかな。」
- 『そうね。』
- 「前のネオンを見てごらん。」
- 「綺麗だよね。」
- 『ええ・・』
- 「少し休んで行こうか。」
- 『・・・』
彼女は黙って頷いた。
(終わり)