横浜新道で催眠誘導した彼女は幸美という同じ職場の部下だった。
予測はしていたが、被暗示性がとても高く催眠に掛かりやすいことが先日の誘導ではっきりした。
ある日、昼食から帰ってくるとエレベータで幸美と2人になったので、そのまま屋上に誘い人目に付きにくい一角に2人で腰掛けた。
- 「こないだの湘南の店はなかなか良かったね。」
- 『ええ』
- 「今度行くときは先日食べなかったお勧めメニュー食べてみようか。」
- 『楽しみだわ。』
- 「店の名前なんだっけ?」
- 『もう忘れちゃったのぉ?』
- 『イルブラッ・・・』
店の名前を言い始めたとたんに表情がうつろになった。
そう、その店での食事を思い出すととっても楽しくなって、店の名前を口にすると催眠状態になるという暗示を掛けておいたのだ。
ぐったりとなっていく幸美を深化させる。
- 「さぁ、君は先日のとっても美味しかった食事を思い出す。」
- 「そして、その後の僕との素敵なひとときも思い出す。」
- 『・・・』
- 「君はあの店の名前を思い出すと、今と同じようにとっても楽しかったことをすぐに思い出す。」
- 「あの店の名前を目の前にすると、僕との素敵なひとときも思い出す。」
- 「そして、とってもエッチな気分になってくる。」
- 「自分の気持ちにブレーキが利かなくなる。」
- 「さぁ、3つ数えると目が覚めるよ。」
- 「目が覚めた後も僕が言った通りになる。」
- 「1,2,3!」
幸美は少し火照った顔でぼんやりと目を開けた。
あの夜のベッドを思い出しているに違いない。
- 「君は僕と一緒にいると、とっても感じるよ。」
一瞬「ドキッ」とした様子を見せた。
覚醒状態でこの一言に反応すると言うことは、かなりイケてるということだ。
- 「さぁ、そろそろ仕事の時間だから戻ろうか。」
- 『ええ』
軽く抱き寄せ、額にキスをして屋上を後にした。
(終わり)