会社の廊下で幸美と会った。
軽く目で合図をして、私は会議室のコーナーに足を向けた。
幸美は私の意図を理解したようで、少し後ろをついてきた。
殆どの会議室は空いているようだった。
僕が一番端の会議室に入って入り口のほうに振り返ると、幸美はあたりを軽く見回してから入ってきた。
僕は鍵を締めるように幸美へジェスチャーしてから、奥の大きな窓の前の席に腰掛けた。
幸美は鍵を締めたあと僕に近寄って来たので、僕は軽く足を開いて両手で僕の左ひざを示すと、幸美は手に持っていた資料を机においてから私の左足に腰掛けた。
僕は幸美のウエストに自分の左手を回して幸美の身体を支えて、右手は幸美の前髪から左の耳のほうに髪を撫ぜ下し、手のひらを幸美の頬に重ねると、幸美は軽く目を閉じてキスを待った。
僕はキスをしながらポケットからある紙切れを取り出して、幸美の唇から離れると同時にその紙切れを幸美の目に触れるようにかざした。
幸美は僕とのキスが終わってゆっくりと目を開けると、僕が用意した紙切れが目に飛び込んだ。
すると、幸美の目がウツロになった。
- 「ほら、あの店を思い出すだろう?」
- 「あの日のことを思い出すだろう?」
- 「そして、気持ちの良い世界も思い出すだろう?」
- 「3つ数えると、深いところに入っていくよ。」
- 「1,2,3,ほら・・・」
その紙切れは、例のレストランのパンフレットだった。
幸美にいたずらするチャンスを狙って、ポケットに忍ばせてあった。
連続して暗示していくと、幸美はどんどん脱力してぐったりとなっていった。
頭は前に倒れて、腕はだらんと下がっている。
- 「さぁ、いまから君のワギナにリモコンバイブを入れてあげるよ。」
- 「そのバイブは、オフィスで電話の着信音が聞こえるとスイッチが入る。」
- 「着信音が止まるとバイブのスイッチも切れる。」
- 「たとえバイブのスイッチが入ったとしても、君はいま職場に居て周りの目があるのだから、決して声を上げたりしてはいけないよ。」
- 「でも、オフィスでとってもエッチなことをしているから、すごーく感じてしまうよ。」
- 「3つ数えると・・・」
幸美を覚醒させてから、会議室を後にした。
幸美を先に歩かせて後ろから歩く様子を見ていると、股間に違和感を感じているのかぎこちない歩き方がおかしかった。
幸美とはタイミングをずらしてオフィスに戻った。
幸美の様子をチラチラ伺いながら仕事をしていると、ある男性社員が幸美に近づき何か仕事の指示を始めたようだった。
- <プルル・・・・>
呼び出し音がなると同時に幸美の様子が一変した。
身体を一瞬震わせてすぐにうつむき、両手をひざの上にそろえた。
全身に力を入れて肩が震え、自分の胎内の刺激に必死にこらえている様子だ。
着信音が3回くらいで他の事務員がその電話に出ると、幸美は身体から力を抜いてホッとした様子を見せた。
幸美の上司は幸美の変化に気づき、仕事の話を中断して何か体調を気遣っている様子を見せたが、幸美は軽く首を振って<大丈夫です>と返事しているようだった。
(終わり)